劇場版 『STEINS;GATE 負荷領域のデジャヴ』を観てきた★★★☆☆
会社休んで観てきました。
ツイッターで「最高だった!」という感想を見て、いてもたってもいられず。
(パンフ1200円。チケット代と合わせて3000円・・・うぐぐ)
で、感想ですが、凄く良かったです。映画で泣く事は殆どないので涙を流したりはしなかったんですが、こみ上げてくるシーンは何度かありました。
僕はテレビ放映をリアルタイムで毎週観ていて、テレビ未放映の25話は借りてみました。
ゲームは未プレイで、小説その他メディアミックスしている類のものも読んでいません。純粋にアニメだけしか見たことがないので、物凄いシュタゲファンというほどではないんですが、そういう人間の感想として、凄く良い作品でした。
ただ、前提として少なくともアニメを見ていないと何がなにやらサッパリという作りになっており、かつ25話も見ていないとアレ・・?という事になったと思います。
劇場版はテレビの続きなので、作品の世界線はシュタインズ・ゲート世界線、つまりは1話の世界線です。
シュタインズ・ゲートは1話の世界線からDメールによってどんどん世界線がずれていき、岡部が死に物狂いで孤独な戦いを続け、最終話でようやく世界線を1話のものに戻す、というストーリー。
なので、劇場版のラボメンは2話~23話までの事を知りません。
全ては岡部のみが記憶している事。(話くらいはしていたようです。)
24話で岡部は紅莉栖を助ける事に成功し、この世界線ではほぼ始めて「出会う」事になります。岡部は何度も繰り返した世界で紅莉栖と長い時間を過ごしていますが、紅莉栖にはその記憶はない。
・・のですが、25話で別の世界線の記憶をおぼろげながら紅莉栖も持っている事が判明します。岡部への想いとともに・・という所までがテレビのエピソードで、劇場版はその続きという事になります。
ここまでを知っていた上で観ないと、多少ついていけないシーンがあると思います。
『劇場版 STEINS;GATE 負荷領域のデジャヴ』予告編 - YouTube
正直、シュタインズ・ゲートをそこまで深く知らないので、よくわからない部分もいくつかありました。ん?なんで?という部分があっても、辻褄があっていないのか、自分の理解が足りないのか、判断できませんでした。
とはいえ、そういう細かい部分は差し置いても、主軸のストーリーは非常に素晴らしいものでした。
予告を見て大体の察しはついていましたが、今回の主人公は岡部ではなく紅莉栖です。
テレビで紅莉栖やまゆりを救うために孤独に闘いつづけた岡部を、今度は紅莉栖が救うというストーリーです。
岡部は、過去に様々な世界線に行っていますが、その全ての世界線の記憶を保持しています。作中ではリーディング・シュタイナーと呼ばれる能力です。
本来は知覚できるはずのない異なる世界線を強く認識してしまっている事で、本来の世界線(シュタインズ・ゲート世界線)とごく僅かだけ異なる世界線(R線)に引っ張られてしまう。
ちょっとした世界の揺らぎに、引きずり込まれてしまうのです。
次第に現在の世界線と他の世界線との区別がつかなくなり、ついには存在が消えてしまう岡部。
紅莉栖を始め、ラボメンも全員、岡部を忘れてしまいます。忘れるというよりも、存在しない事になってしまう。
しかし、岡部が存在ごと消えてしまっても紅莉栖には違和感が残ります。
「何かが足りない」。その喪失感だけに従い、紅莉栖は過去にタイムリープします。鈴羽の協力もあり、過去で岡部に再開し、すべてを思い出した紅莉栖。
そして鈴羽に、このままでは岡部は存在ごと世界線から消えてしまう事を聞かされます。
ところが、自分が消えても、決して何もするなと岡部は紅莉栖に強く釘を刺します。
幾度も世界線を改変し、その度に絶望してきた岡部は、過去を変える事は何も正しい結果を生まないと、その経験から知っているのです。
結局、唯一救いとなる世界線は「何も起きなかった世界線」だったわけですから・・
紅莉栖やまゆりが無事ならと、そのまま消える事を選択する岡部。
紅莉栖は苦悩します。
岡部を救おうとすれば、世界はまた歪んだ世界線のものになってしまう。
しかし、このままでは岡部は消えてしまう。
ここからが、紅莉栖の戦いが始まるわけですが、岡部が過去にしてきた戦いと同じ事を紅莉栖が繰り返す事になるわけです。
基本、こういうストーリーに弱いんですよ。ピンチの主人公を、過去に主人公に助けられたキャラクターが助ける、みたいな。
うしおととらとか、かなりストライクです。
そして紅莉栖が必死に駆けずり回る様は胸に来るものがあります。
それにしても紅莉栖が主人公になる事で、対比のポジションにいる岡部は達観した感じになりましたね。
むしろ却って主人公然としているというか、さすが数えきれないほどタイムリープを繰り返してきたという貫禄を感じさせます。
紅莉栖も、主人公らしくというかキチンと成長が描かれてますね。
自分は科学者だから、と何度も言い聞かせる紅莉栖ですが、そんな自分を乗り越える姿は成長と捉えて差し支えないと思います。
一番いいなと思ったのは、紅莉栖と岡部の関係性です。
シュタインズ・ゲート世界線では、岡部本人以外、誰も岡部の戦いの事は覚えていません。そういう意味で、岡部は「孤独な観測者」なんですよね。
しかし今回、紅莉栖がテレビシリーズの岡部と同様に戦うことを選択した事で、岡部は孤独ではなくなります。
また、ラストの展開で紅莉栖は岡部にとって、その存在を支える掛け替えのない存在になるわけです。
これは非常に良くできているなあ、と思いました。
ただその反面、ラボメンのみんなが岡部を忘れてしまった時にはちょっと寂しい気持ちになりましたけど笑
ダルとか結構土壇場まで忘れてましたからね。
鈴羽の登場は安心しました。彼女の登場によって結構話の辻褄が合わなくなる部分があるように思うのですが、出てくれるのであれば些細な問題です。
ただ正直、どんなポジションなのかよく分からなかった笑
バイト戦士ではないので、あくまで何もなかったシュタインズ・ゲート世界線の未来から来たという事でしょうか。
紅莉栖が未来でタイムマシンを発明するものの、使用を禁じているという事なので、鈴羽の独断で来たという事なのかな?
岡部を救う決断をしなかった事をずっと後悔していた紅莉栖を見かねてやってきたという事でしょうか?それはやっちゃって大丈夫なの?鈴羽の世界線がずれてしまうのでは・・
タイムマシンの名前も「FG」ではなく、「OR」になってましたね。その後に続く番号は忘れてしまいました・・これは岡部倫太郎のイニシャルだと思われます。
スプーンとフォークや白衣のほつれを直すシーンなどテレビのエピソードもうまく使われていましたし、自転車のエピソードはゲームのシーンでしょうか?
ゲームをやっていればもっと楽しめたんでしょうね。
バーベキューのシーンも、ファンにとっては感慨深いシーンとパンフを読んで始めて気付きました。あのメンツが揃うのは初めてだったのか・・
僕はアニメしか見ていなかったので、ゲームをやってから観れば良かったと若干思わないでもないですが、それでも充分に楽しめました。
製作者の熱意も作品から伝わってきて、決して蛇足ではなく、最高の形で完結した本編をさらに補強するいい作品だったと思います。
テレビをおさらいして、もう一回観よう。