ゾンビ映画で主人公がTシャツ着てるのが納得いかない

だって噛まれたらゾンビになるんですよ。プロテクトしろよやる気あんのか

ブレンパワードから伝わる富野由悠季という鬼才

GYAOでね、今配信されてるんですよ。

せっかくなのでちょっとずつ見始めました。
改めて見るのは17、8年ぶりになるかと思うんですけど。


4話まで見返して思うのは、やっぱり富野由悠季は凄いな、という事ですね。

一口に「凄い」と言っても、何が凄いかよく分からない。とりあえず、並の監督、脚本家ではない事は分かります。

これはブレンパワードに限らず、富野作品全般に言える事なんですけど、意味わかんないんですよ。

最近放送されてた「Gのレコンギスタ」も全然意味わかんなかったですよ。毎回ポカーンでしたもん。

でも、許されてるじゃないですか。ファンも多い。僕だって意味分かんないのに見てますからね。

これは何なんでしょうね。つまらなかったら見ないです。でも見るって事は、意味が分からないのに、つまらなくないんですよ。

こんな事って、普通ありえなくないですか?

もちろん、意味が分からんから見ない、っていう人も沢山いると思いますけどね、反対に「何言ってんの?一回見て富野作品が理解できるわけねえだろうが!3回ずつ見ろ!」っていう富野ファンもいるわけです。

いや3回は見ねえよ、意味わかんねえのに、って言われた時は思ったもんですが、今回ブレンパワード見返して少し言われた意味は分かりました。


富野作品は意味が分からない。でもその代わりに勢いとリアリティがあるんです。キャラクターに血が通っています。


ブレンパワード2話の、こんなシーンがあります。

主人公の伊佐未 勇(いさみ ゆう)は1話でもう一人の主人公、宇都宮 比瑪(うつみや ひめ)と短い出会いを果たします。
それから一年経ち、運命的な再開をするのですが、再開するや否や、突然比瑪にキスをするのです。

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そこからの2人のやり取りです。

比瑪「今何をやったの?!」
「何って、俺たち二人でグランチャーを撃退したんだろ、お前宇都宮比瑪だな。お前のブレンパワードの扱い方、YESだね!」
比瑪「ああ、そうかあ!そうなんだ!」

いや何だこれ。意味わかんねえよ!

視聴者からしてみたら、いきなりキスする理由がまずわかりません。
そこからの、比瑪の「今何をやったの?!」というリアクションはまあ、突然キスをされて動転するという正常なリアクションです。

しかし、それに対する勇の「何って、俺たち二人でグランチャーを撃退したんだろ」という返し。
これは意味が分からない。

特に親しくもない女性に突然キスをしておきながら、あたかも何事もなかったようにトンチンカンな返しをしています。

ここで凡庸な脚本は「何でかわからないけど、ずっとお前の事が忘れられなかったんだ」とか、「何でか分からないけど、気づいたらキスしちゃってたんだ」とか、まあそんなセリフになるんじゃないでしょうか?
(追記)
5話までみたら、勇にしてみたらキスなんて挨拶だから一々騒ぐほどの事じゃない、という描写がありますね

さらに、そのトンチンカンな返答に対し比瑪は「ああそうかあ!そうなんだ!」と素直に喜んでしまいます。

いやいや、お前キスされてたよ?

そこは「そっちじゃねえよ!誰が戦闘の話をしたんだよ!」とか、「話が全然噛み合ってないんだけど!」とかツッコむべき所の筈です。

いきなりキスされたのに、初戦闘の勝利と、ブレンの乗り方を褒められて舞い上がってしまう。こんな人間おるか?
YESだね、じゃねーよ

一応、それまでにも勇は1年前に会っただけの比瑪を忘れられない描写や、比瑪が目先の話題にコロコロ乗っかりがちな描写はありますが、それにしてもあまりに唐突です。

視聴者が見ながら無意識に予想しているやり取りの、さらに外側の展開を見せるので見ていて混乱するのです。
だから、意味が分からない。

でも、逆にそこに他の作品にはないリアルを感じる事ができます。

キャラクターの言動が、物語の枠に全くとらわれていないのです。
現実の人間は、「普通はこう答えるだろう」なんて他人の予想に従って生きてません。
互いに分かっている事なら、敢えて第三者に分かるように説明しながら会話したりしません。

富野作品のキャラは、視聴者がどう受け止めるかお構い無しに、それぞれがそれぞれの立場で勝手に考え、勝手に話します。
だから生き生きとして「作り物感」がないし、作品に勢いが出るんだと思います。
これって、凄い事じゃないでしょうか?
脚本て、普通は見る人に伝わるように、ストーリーを終えるように書くんじゃないですかね。
でも、富野由悠季は彼の頭の中で生きているキャラクターが話している事を脚本にしている、僕にはそう感じられる。
比瑪が初めてブレンパワードに搭乗した時、ブレンに「あなた!キミ!」と呼びかけます。ブレンパワードが生きていると知りつつ、どんな距離感で接したものか測りかねている、そういった戸惑いがこの短い台詞でよく伝わります。
こんなの、頭の中でキャラクターが生きてないと出てこない台詞だと思うんですけどね。


一方で、富野節と呼ばれる不自然なほど説明的な台詞が入って来たりします。
これもまた混乱です。

いらん説明はくどくどセリフに入ってるのに、肝心のシーンは説明不足ですからね。どうなってんだ一体。


ちなみにブレンパワードもまた他の富野作品と同様に名台詞の宝庫であります。

上記の「お前のブレンパワードの扱い方、YESだね!」もその一つと言っていいでしょう。「お前、上手くブレンパワードを扱うじゃないか!」みたいな凡庸な台詞回しとは一線を画したセンスです。

他には3話の「死ねよやあ!」や、4話の「あいつ、ナーバスなんだ」などが十数年振りに僕の心を強く揺さぶってきました。
この先「僕はずっと!待ってた!!」という名台詞中の名台詞が来るので、今から楽しみにしています。

ブレンパワードという作品は、WOWWOWで放送されたため、地上波ではできない謎の挑戦がしばしば行われています。
ロボットアニメにも関わらず、オープニングはロボットが全く出ず、女性キャラクターがひたすら全裸で入れ替わり立ち替わり登場します。


意味がわかんねえよ。

ちなみにOP曲のIN MY DREAMは名曲です。歌っている真行寺恵里さんは最近Twitterを始めたようなので、皆さんフォローしましょう。

In My Dream

In My Dream



OPの他にも、主人公の母親がライバルに寝取られて、「お前のオカンとヤッたぜ!」みたいな煽りを受けたりします。地上波じゃないからって、こんな挑戦いる?
こんな外道な事する奴はジョナサンかgleeのパックくらいしか思いつかねえ。

・ブレンパワード セル画 No.4636



とまあ、ブレンパワードはこのように富野由悠季という監督の非凡さを改めてビンビンに感じる事ができる名作であります。イデに人類が滅ぼされたり、人間爆弾が出たりしないぶん、まだ大人しい方かもしれませんが。

見た事ないけど、見たいと思ってた!なんて人は是非見てみて欲しいものです。
ツッコミを入れつつ、しかし富野由悠季以外にこれが作れるのか?という事を常に念頭に置いて楽しく視聴できれば、YESなんじゃないでしょうか。

EMOTION the Best ブレンパワードDVD-BOX

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