「ボーダーライン」メキシコ怖すぎワロタ★★★★★
アマプラで鑑賞です。
これヤバいっすねー
壮絶な映画です。終始緊張感が凄い。
とある一軒家をFBIが襲撃するシーンから始まります。
で、銃撃戦になって、たまたま崩れた壁の中からFBIがなにかを見つけるんですよ。
それが壁に埋め込まれてた死体なんですよね。
で、「おいおいなんだよコレ・・・?!」ってなるんですけど。
その後その家からは壁中の壁、床下とかからもどんどん死体が出てくるんですよ。
予告編のシーンですよね。
もうそこらのホラー映画より人が殺されてるんですよね。開始10分で。
どうやら誘拐事件の犯人の家を襲撃したら、過去に誘拐された人間の死体が山盛り出てきたんだと。
見てる側は、「あ、これはやべーぞ、なんか良くわからんけど悪者のレベルが尋常じゃないぞ」って覚悟を決めるわけです。
主人公はエミリー・ブラント演じるFBIのやり手捜査官ケイトですが、
この人は終始、観客目線の立場ですね。
「え、なんなんコレ?え、私何に巻き込まれてんの?ええ?」
みたいな。
で、なんやかんやメキシコのフアレスっていう街に行くんですけど。
街中で、高架から死体がぶら下がってんすよ。
「あれはカルテルの見せしめだねー」とか言って。
「あ、世界にはこれが日常の街っていうのがあるのか・・」っていうのが
見ててメチャクチャ衝撃です。
「悪者のレベルが尋常じゃない」のではなくシンプルに住む世界が違うっていうことなんですよね。
壁に死体埋め込むのも、橋から死体ぶら下げるのも、ホラー映画に出るような
サイコパスの殺人鬼の仕業ではなく、生業としてやってる。
怖すぎんよ。
ケイトをFBIから引き抜く謎の男マット(ジョシュ・ブローリン)と
もっと謎の男アレハンドロ(ベネチオ・デル・トロ)の目的もよく分からず、
終始翻弄され、ストレスでタバコの本数は増えていきます。
どうやら自分は戦力として呼ばれたわけではないことに勘付き始めるケイト、
どうにかして自分の中の常識や遵法精神に則って戦おうと奮闘するのですが、
とにかく無力。
終始無力のまま状況はどんどん進行し、最後までケイトは何もできず
終わってしまうんですよね。
法を守ってたら麻薬カルテルと渡り合うことなんてできない。
正義では本当の悪にはカケラも歯が立たない。
そして、その悪はフィクションではなく、この世に存在しているんだ、
ということを観客に突きつけて映画は終わります。
ラストシーン、息子のサッカーに付き添いながら、おそらくは夫が帰らないことを
察した母親の表情、銃撃音、一瞬それに注意を引かれるも、また何事もなかったかのように息子に視線を戻す。
それを日常としている人たちは、それを受け入れて生きていくしかないんですよね。
とにかく見終わって爽快感もない、絶望とまではいかないまでも
ケイトと同じように無力感を感じ、この世に存在するであろう巨悪を感じる、
そしてそんな世界と無縁に生きていられる自分の境遇に感謝してしまう。
そんな映画でした。
※ちなみにサントラが緊張感を高めてきて圧迫感が凄い。
原題の「Sicario」は殺し屋。主人公はケイトではなくアレハンドロだったということが読み取れますね。